親族に承継する方法は,最も多く選択されている事業承継の方法で,親族内承継と言われます。これは経営者の子や娘婿等の親族に事業を承継させることです。
現在においても,自分の親族に事業を承継することを希望する経営者は多いと言えますが,親族内承継は減少傾向にあります。
この原因の1つとしては,親族内に承継を希望する者が不在な場合が多いことが挙げられます。国民のライフスタイルは多様化し,親の事業を承継することにこだわらず,自由に職業を選択する子供が増えていると考えられます。このように承継を希望する者が不在であれば親族内承継は困難となります。これは親族内承継のデメリットの1つです。
次に,複数の親族が事業の承継を希望する場合,相続も絡んで後継者の選定で争いが生じる恐れがあります。仮に複数の後継者に事業を承継する場合,経営権が分散し,会社が分裂する可能性が高まります。
さらに,現経営者に尽くしてきた古株の役員や社員の処遇をめぐって,内部紛争が発生する可能性があります。
その他,親族である後継者に経営者としての素質がない場合も親族として事業承継されるおそれがある等のデメリットがあります。