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債務整理全般Q&A

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債務整理全般Q&A千代田区の弁護士へのご相談は東郷法律事務所

Q:個人の債務整理にはどのような手続きがありますか。
A:債務整理には,主として,任意整理・個人破産手続き・個人民事再生手続き,特定調停があります。

Q:受任通知とは何ですか。
A:債務者が弁護士に債務整理を依頼したという事実を債権者に通知する文書のことです。弁護士から受任通知が債権者である金融機関に送付されることにより,当該金融機関からの取立てがストップします。一般的に,以下のような内容が記載された文書が送付されます。
債務整理開始通知
当職は、この度、後記債務者から依頼を受け、同人の債務整理の任に当たることになりました。つきましては、次のことをお願いします。 1 今後、債務者や家族、保証人への連絡や取立行為は中止願います。 2 正確な負債状況を把握するため、貴社形式の債務調査票に債務者の貴社との取引経過 の全てを記載の上、当職宛にご返送下さい。過去に取引がある場合は、完済分も含め、 取引の当初からの経過を開示して下さい.     ・・・・以下省略・・・
Q:債権調査とは何ですか。
A:貸金業者から取引履歴を入手し,現時点の債務の存否等借入に関する事実関係を明らかにすることです。

Q:すべての貸金業者が取引履歴の開示に応じますか。
A:応じない貸金業者もいます。

Q:任意整理をするとどのくらい借金が減るのでしょうか。
A:任意整理では,債権者から提出された債権届(約定利息)を法定利息に引き直して計算します。通常は,約定利息の計算と法定利息の計算の差額分が,実際借金が減る額です。取引がながければ長い,取引金額が多ければ多いほど,減額が大きくなる可能性が高いです。

Q:ブラックリストとは何ですか。
A:民間の信用情報機関が作成する個人の信用情報を記載したデータベースのことをいいます。個人の信用情報として、債務者が債権者である金融機関に対する債務の返済ができない場合や弁護士が代理人として介入した場合等に事故情報として記載されます。ブラックリストに載ると,一般的には,返済能力に問題があるとして,新たな借入が困難になったり,クレジットカードを作成するのが困難になったり,ローンを組むのが困難になったりする可能性があります。ブラックリストへの登録期間は,5年~10年といわれています。

Q:債務整理で弁護士が介入するとブラックリストに載ってしまいますか。
A:弁護士が介入した時点でブラックリストに載ります。また,支払が遅延している情報はブラックリストに載るおそれがあるため 弁護士が受任した時点で遅延が生じているのであれば,もうすでにブラックリストに載っている可能性があります。

Q:ブラックリストに載るとどんな不利益がありますか。 
A:金融機関からの借入やローンを組むことが困難になる,クレジットカードを作れなくなる,連帯保証人になれない場合がある等のデメリットがあります。

Q:弁護士が債務整理を受任すると取立は止まるのでしょうか。
A:弁護士が受任すると,すぐに受任通知を送付します。そうすると債権者(個人の債権者を除く)からの取立は止まります。

Q:債務整理をしたいのですが,保証人がついています。保証人に影響はありますか。 A:保証制度は,本人が支払困難になったときのために用意されているものであり,ご本人が債務整理をした場合ご本人への取立はとまりますが,保証人が債務の請求を受ける可能性があります。 もし,保証人が全額返済困難であれば,保証人も債務整理をする必要性が生じます。

Q:債務整理の相談はどのタイミングでしたらよいですか。 
A:一刻も早く相談することをお勧めします。実際に債務整理をするか否かにかかわらず,まずは弁護士と相談して現状を把握することが大切です。

Q:期限の利益とは何ですか。 
A:支払期限が到来するまでは債務の支払いを猶予するという債務者の利益のことです。具体的には,下記具体例の第2項が期限の利益を付与する条項になります。
具体例 1 Aは,Bに対し,本件債務の履行として,金○円支払義務のあることを認める。 2 Aは,Bに対し,前項の金員を,次の通り分割して支払う。 平成○年○月末日限り○円 同年○月末日限り○円 同年○月末日限り○円 ・・・以下省略・・・
AはBへの債務の支払いを上記第2項によって,同項記載の期限まで猶予されています。このようにAが支払いを期限まで猶予される利益のことを期限の利益といいます。

Q:期限の利益喪失約款とは何ですか。
A:債務者に期限の利益が付与されている場合において,債務者が当該期日に返済しなかった時、債権者が債務者に残りの債務全額を一括で支払うよう請求することができる旨の特約のことをいいます。具体的には,下記具体例第3項が期限の利益喪失約款にあたります。
具体例 1 Aは,Bに対し,本件債務の履行として,金○円支払義務のあることを認める。 2 Aは,Bに対し,前項の金員を,次の通り分割して支払う。 平成○年○月末日限り○円 同年○月末日限り○円 同年○月末日限り○円 3 Aが前項の支払いを怠り,その額が○円に達したときは,当然に期限の利益を失う。 ・・・以下省略・・・

Q:債権の消滅時効とは何ですか。
A:債権者が一定期間債権を行使しない場合、当該債権を消滅させる制度のことをいいます。

Q:債権の消滅時効は何年ですか。
A:債権の消滅時効は,原則として10年です。(民法167条)。ただし,商事債権(商行為によって生じた債権)の場合は5年となります(商法522条)。
民法167条:債権は、十年間行使しないときは、消滅する。 商法522条:商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に五年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。

Q:借入債務(お金を借りて返済しなければならない債務)の消滅時効は何年ですか。 A:個人間の借入金債務の消滅時効は,原則10年です。消費者金融等金融機関からの借入は,当該金融機関が会社の場合は商事債権となり,消滅時効の期間は原則5年となります。

Q:引き直し計算とは何ですか。
A:利息制限法に定められた利息に基づいて,借金の残額を正しく計算し直すことです。

Q:利息制限法に定められた上限利息とは何%ですか。
A:・元本の額が10万円未満の場合 年20% ・元本の額が10万円以上100円未満の場合 年18% ・元本の額が100万円以上の場合 年15% です。利息が上記利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効となります(利息制限法1条)

Q:債務整理をすると家族に法律上の影響はありますか。
A:家族が保証人になっていない限り,原則として法律上の影響はありません。

Q:子供(親)の借金について親(子供)は支払わなければなりませんか。
A:法律上の支払い義務はなく,支払う必要はありません。ただし、保証人になっている場合は、支払の義務があります。

Q:亡くなった親が借金をしていました。親の借金を引き継がなければなりませんか。
A:親の資産を相続すると借金も引き継ぐことになります。資産より借金が多い場合は,家庭裁判所に相続放棄の手続きをとることで親の借金を払わなくてよくなります。この場合,親の資産も相続できません。相続の放棄ができる期間は,自己のために相続の開始があったことを知った時から3ケ月以内です(民法915条1項)。

Q:債権者から貸金返還請求の訴状が届きました。どうすればいいですか。 
A:訴状や支払督促が届いた場合、放置すると債権者の主張が認められてしまい,給料や預金等の財産の差押えを受ける可能性があります。すぐに弁護士にご相談ください。

Q:受任通知を弁護士から送付した後でも貸金返還訴訟を起こしてくる貸金業者はいますか。
A:弁護士介入後も一部の貸金業者は訴訟を起こす場合があります。この場合,依頼者に直接訴状等が送られてきますので,すぐに弁護士に連絡してください。

Q:強制執行とは何ですか。
A:裁判所に手続きをすることによって債務者の財産を強制的に処分し、その換価代金から債務の弁済を受ける手続きをいいます。差押えは強制執行の一手段です。

Q:強制執行をするためには何が必要ですか。

A:裁判によって得た確定判決等の債務名義が必要となります。 債務名義には以下ものがあります(民事執行法22条)。

1   確定判決 
2   仮執行の宣言を付した判決
 3   抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)
3の2 仮執行の宣言を付した損害賠償命令
4   仮執行の宣言を付した支払督促 
4の2 訴訟費用若しくは和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)
5   金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)
6   確定した執行判決のある外国裁判所の判決 6の2 確定した執行決定のある仲裁判断 
7   確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)

Q:貸金業者から債務名義を取得される場合,どんな方法により取得されることが多いですか。
A:裁判を起こされて確定判決を取得されるか,支払督促の申立てによるものが多いです。
Q:貸金業者から強制執行を受けることはありますか。
A:裁判による確定判決等の債務名義を取得されると強制執行を受ける恐れがあります。
Q:貸金業者から強制執行を受ける場合,どんな財産に強制執行を受けることが多いですか。
A:土地・建物等の不動産,銀行預金,給与,第三者に対する債権等に強制執行されることが多いです。
Q:個人の借入に関しては,年収の3分の1を超える借り入れができなくなったというのは本当でしょうか。
A:本当です。個人の借入総額は,原則,年収等の3分の1までに制限されました。このことを総量規制と呼んでいます。
Q:住宅ローンも総量規制の対象になるのでしょうか。
 A:なりません。住宅ローンは除かれます。