事業承継を成功させるためには,早い段階から十分な準備を行うことが大切です。
日本企業の大多数を占める中小企業において,経営者の高齢化が進んでいます。国民のライフスタイルは多様化し,親の事業を承継することにこだわらず,自由に職業を選択する子供が増えていると考えられます。このような後継者不在の中で,経営者が不意に亡くなり,企業の業績が急激に悪化した,さらには廃業に追い込まれた等という事例も存在します。
企業の存続を維持し,従業員の雇用を守り,社会に貢献し続けるためには,早めに事業承継対策を行うことが重要になります。
例えば,息子に事業を承継する場合,企業内で息子に後継者として必要な経験をさせたり,後継者である息子と従業員との企業内でのコミュニケーションを円滑化させたりするために,十分な時間が必要となるケースは多いと言えます。
また,従業員に承継する場合も,後継者の選定や後継者に必要とされる資金の問題,代表者の個人保証の問題等の様々の問題をクリアするのに,十分な時間が必要となるケースも多々存在します。
M&Aによる承継の場合も,適切な買収先を選定するには十分な時間が必要となるケースが存在します。
事業承継には,時間とコストを要することから後回しになりがちですが,早めの対策を講じることが極めて重要と言えます。