Q:自己破産とは何ですか。
A:破産法に基づいて,裁判所に申立てを行い,通常の生活をするために必要な最低限度のものを除いた自己の財産を債権者に分配する手続のことをいいます。それと同時に免責をしてもらうことで破産者は自己の債務を免れることができます。
Q:破産手続とは何ですか。
A:破産法の定めるところにより、債務者(破産者)の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する手続のことをいいます(破産法2条1項)。
Q:自己破産をすると家財道具も差し押さえられますか。
A:破産をしても99万円以下の現金や家具等の生活必需品は自由財産といって処分されることはありません。
Q:破産手続きにおける自由財産(本来的自由財産)とは何ですか。
A:破産者の財産の中で破産者が自由に処分できる財産のことをいいます。 具体的には,99万円以下の現金,金銭以外の差押えが禁止された財産(①生活に欠くことができない衣服・寝具・家具・台所用具・畳及び建具,1か月間の生活に必要な食料及び燃料等)等があります。
Q:破産手続きにおける自由財産の拡張とは何ですか。
A:破産者の経済的更生という目的を達成するために,本来的自由財産以外の破産者の財産についても自由財産として認めることをいいます。破産者の生活状況・収入,当該自由財産の種類・額等を考慮して裁判所が決定します(破産法34条4項)。 破産法34条4項:裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。
Q:過去に自己破産をしたことがある場合,またできますか。
A:原則として一度自己破産をすると7年間は自己破産できません。
Q:官報公告とはどんなものですか。
A:国立印刷局が発行している刊行物です。
Q:自己破産をすると,官報に氏名などの情報が載りますか。
A:載ります。
Q:破産手続きをとった場合,官報にはどんな個人情報が載りますか。
A:破産者の氏名,住所等の個人情報が載ります。
Q:官報は誰でも見ることができますか。
A:誰でも見ることができます。ただし,一般的に日常生活で一般人が官報を見る機会は少ないと思われます。
Q:破産管財人とは何ですか。
A:破産管財人とは,破産法の破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者(破産法2条12項)をいいます。通常,裁判所により破産管財人として弁護士が選任されます。
Q:破産手続きにおいて破産管財人が付くか否かはどのように決まりますか。
A:免責不許可事由がある場合または20万円を超える資産がある場合には,原則として破産管財人が付きます。最終的に裁判所が決定します。
Q:免責不許可事由がある場合とはどのような場合ですか。
A:典型的なものとして,借金の原因がギャンブルや浪費である場合等が挙げられます。
Q:免責不許可事由があると,借金は免責されませんか。
A:免責不許可事由がある場合でも,裁判所は破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができます。現実的には,多くの場合で免責が認められています。
Q:ショッピング枠の現金化を行ってしまいました。破産手続きにおいて,免責が下りますか。
A:一般的にショッピング枠を現金化する行為は違法ですので行ってはなりません。これは免責不許可事由に該当します。ただし,程度問題もありますが,免責が下りる可能性は十分にあります。
Q:破産管財人が付いた場合に,追加で必要となる費用(引き継ぎ予納金)はいくらですか。
A:東京地方裁判所の場合,原則20万円です。
Q:破産財団とは何ですか。
A:破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するもの(破産法2条14項)をいいます。破産財団に属さない破産者の財産は自由財産となり,原則として破産者が自由に処分できます。
Q:財団債権とは何ですか。
A:破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権(破産法2条7項)をいいます。
Q:支払不能とはどのような状態をいいますか。
A:債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいいます(破産法2条11項)。
Q:同時廃止とは何ですか。
A:債務者に換価できる財産がないことが明らかで,破産手続きの費用すら用意できない場合に、破産手続開始決定と同時に、破産管財人を選任することなく破産手続き終結することをいいます。破産法216条1項には以下の通り定めがあります。 破産法216条1項:裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。
Q:異時廃止とは何ですか。
A:破産手続開始決定後において、破産者に換価できる財産が少なく、破産手続きの費用すら不足すると認められたときに、破産管財人の申立て又は裁判所の職権により破産手続廃止の決定がされることをいいます。破産法217条1項には以下の通り定めがある。 破産法217条1項:裁判所は、破産手続開始の決定があった後、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産管財人の申立てにより又は職権で、破産手続廃止の決定をしなければならない。この場合においては、裁判所は、債権者集会の期日において破産債権者の意見を聴かなければならない。
Q:破産手続きのメリットを教えてください。
A:原則として,借金等債務の支払いを免れることが最大のメリットです。
Q:破産手続きのデメリットを教えてください。
A:官報に氏名等が掲載されます。2度目の破産は7年間,原則としてできません。破産手続き中につけない職業があります。生活に必要不可欠でない高価な財産(99万円を超える現金及び20万円を超える資産)については処分されます。ブラックリストに載ります。破産法に従った手続きですので破産手続き中に裁判所に行ったりなど手間がかかる等のデメリットがあります。
Q:自己破産すると郵便物が調査されると聞きましたが,本当ですか。
A:本当です。自己破産手続き中は郵便物が破産管財人に転送され,調査されます。破産管財人から郵便物を受け取ることになります。
Q:いつまで郵便物の転送が続きますか。
A:原則,破産手続きが終了するまでです。
Q:自己破産手続きをする場合,何回くらい裁判所に行くことになりますか。
A:破産管財人がつかない場合(同時廃止):原則1回です。 破産管財人がつく場合,破産管財人の事務所に原則1回,裁判所に原則1回です。ただし,事案によっては破産管財人の事務所や裁判所に複数回行かなくてはならない場合があります。
Q:免責とは何ですか。
A:債務支払義務を免除してもらうこと。破産手続きにおいては,免責決定を受けて初めて債務の支払義務がなくなります。
Q:自己破産をした場合,住宅は維持できますか。
A:原則として維持できません。
Q:自己破産をした場合,自動車は維持できますか。
A:自動車の資産価値が20万円以下の場合,自由財産として維持できます。自動車の資産価値が20万円を超える場合は原則として維持できません。
Q:自己破産をした場合,生命保険などの保険は維持できますか。
A:すべての保険の解約返戻金の合計額が20万円を超える場合,原則として解約する必要があります。解約返戻金の合計額が20万円以下の場合は,原則として生命保険を維持できます。
Q:自己破産手続きをとることで税金債務も免除されますか。
A:免除されません。破産手続きによっても税金債務は消滅しません。
Q:自己破産をすれば養育費は免除されますか。
A:免除されません。破産手続きによっても養育費は消滅しません。
Q:自己破産をすれば罰金は免除されますか。
A:免除されません。破産手続きによっても罰金は消滅しません。
Q:自己破産をした場合,携帯電話の滞納料金は免除されますか。
A:免除されます。破産手続きにより消滅します。
Q:携帯電話の滞納料金を破産手続きで消滅させると何か問題が生じますか。
A:携帯電話を新規に持てなくなるリスクがあります。他の携帯会社でも新規に携帯電話を作れなくなるリスクがあります。
Q:自己破産をした場合,友達に借りた負債は免除されますか。
A:免除されます。破産手続きにより消滅します。
Q:自己破産をした場合,選挙権は制限を受けますか。
A:制限を受けません。
Q:自己破産をすると自動車の運転免許証を取り上げられますか。
A:取り上げられません。
Q:自己破産すると自動車の運転免許証に記載されますか。
A:記載されません。
Q:自己破産手続き中に付けない職業がありますか。
A:あります。具他的には,警備員,生命保険募集人,証券外交員,弁護士,弁理士,司法書士等の仕事に付けません。ただし,破産手続きが終了すれば,法律上はこれらに職業にも付くことができます。
Q:弁護士の依頼せずに個人で破産手続きをとることが可能ですか。
A:可能です。ただし,複雑な法律問題を含んでいるケースもあり,ご本人に多大な負担がかかることも多いです。
Q:家族に内緒で破産手続きを行うことは可能ですか。
A:家族に情報を漏らさないように最大限ご協力はいたしますが,内緒で行えるという保証はできません。
Q:自己破産をすると国から年金をもらえなくなりますか。
A:そのようなことはありません。
Q:自己破産をすると銀行口座も使えなくなりますか。
A:預金や公共料金の引き落とし等銀行口座は通常通り使えます。ただし,預金がある金融機関に借金がある場合,相殺される可能性があります。
Q:現在,住民票が設定されていません。破産の申立てはできますか。
A:破産を申し立てるにあたっては,住民票の設定が必要となります。住民票の設定がないまま,破産の申立はできません。
Q:自己破産しても給料はもらえますか。
A:原則として全額もらえる運用がとられています。
Q:借金が少額でも自己破産できますか。
A:自己破産できる場合があります。
Q:自己破産したことは戸籍に載りますか。
A:載りません。
Q:破産したことは破産者名簿及び市区町村で発行される身分証明書に記載されますか。
A:破産者名簿とは破産者の本籍地の市区町村に備えられている名簿で,当該名簿に記載があれば身分証明書を発行した際,自己破産したことが記載されます。ただし,破産者名簿に記載される期間は,自己破産手続開始決定から免責確定までの数か月間で,免責許可決定が確定すると破産者名簿からの記載は抹消されます。個人破産の場合,ほとんどの場合で免責が許可されていますので,免責許可決定が確定すれば破産者名簿からの記載は抹消され,身分証明書にも記載がなくなります。
Q:過去に個人民事再生を行ったことがあります。自己破産手続きを利用できますか。 A:利用できます。
Q:会社の代表者です。会社は破産せず,代表者のみ破産することは可能ですか。
A:会社と代表者同時に破産手続きを取るのが一般的ですが,会社は破産せず,代表者のみ破産できるケースもあります。個別の状況により異なってきますので,直接お問い合わせください。
Q:会社の代表者です。会社のみ破産して,代表者は破産しないことは可能ですか。
A:会社と代表者同時に破産手続きを取るのが一般的ですが,代表者は破産せず,会社のみ破産できるケースもあります。個別の状況により異なってきますので,直接お問い合わせください。
Q:会社の代表者です。会社を破産させ,代表者は個人再生手続きをとることは可能ですか。
A:会社は破産手続き,代表者は個人再生手続きをとることができる可能性が十分にあります。代表者が住宅を所持しており,住宅ローンを払って住宅を維持したい場合等は,会社は破産手続きをとっても代表者について個人民事再生手続きをとるメリットが出てきます。個別の状況により異なってきますので,直接お問い合わせください。
Q:現在の勤務先には退職金制度があります。長年勤務していますが,破産手続きを取るとどのような影響がありますか。
A:仮に現時点で退職したと仮定した場合の退職金支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える時,当該退職金見込額の8分の1相当額を破産管財人に引き継がなければなりません。例えば,甲さんの勤務する会社には退職金制度があり,甲が現時点で退職したと仮定した場合の退職金見込額が320万円であれば,その8分の1相当額の40万円を破産管財人に引き継がなければなりません(もちろん甲は会社を退職する必要はありません。40万円の支払いが必要となるだけです)。仮に現時点で退職したと仮定した場合の退職金支給見込額の8分の1相当額が20万円以下の時,破産手続きを取っても特に影響ありません。例えば,甲が現時点で退職したと仮定した場合の退職金見込額が160万円以下であれば,その8分の1相当額は20万円以下となるため,破産管財人に金銭を引き継ぐ必要はなくなります。
Q:自己破産手続きにおいて,一部の債権者から過払い金が発生しそうです。当該過払い金を弁護士費用や裁判所への予納金に充てることは可能ですか。
A:可能です。回収した過払金を弁護士費用や裁判所への予納金に充てることができます。
Q:破産手続きを取りたいのですが,友達への借金だけは返済したいので債権者から外すことはできますか。
A:友達だけ債権者から外すことができません。破産手続きにおいて,債権者は原則として平等に扱わなければならないため,友人の借金だけ返済することはできません。
Q:破産手続き中に引越しできますか。
A:裁判所の許可が必要です。特別問題がなければ,引越しにつき裁判所の許可が下りる可能性は高いです。
Q:破産手続き中に裁判所や破産管財人の事務所に行くと聞きました。弁護士は同行してくれるのですか。
A:もちろん弁護士が同行します。