強制的に相手方の財産を金銭に換価して債権を回収するためには債務名義が必要です。相手方の財産を強制的に金銭に換価して債権の回収をする等の手続を強制執行といいます。この強制執行するためには債務名義が必要になります。
債務名義とは、強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在,範囲,債権者,債務者を表示した公の文書のことをいいます。権利があることを公的な機関が認めた文書のことです。例えば,裁判を起こして取得した判決文,裁判上の和解調書等が挙げられます。
債務名義があることが強制的に権利を実現する前提となります。裁判は債務名義を取得するためのものであり,裁判をしただけでは実際に債権を回収することはできません。すなわち裁判等をして債務名義を取得した上で,強制執行する必要があります。
このように強制的に相手方の財産から債権を回収するためには,訴訟等を提起して債務名義を取得して,強制執行するという手続を要します。その間に数年を要し,相手方の財産状態が悪化して,裁判で勝訴しても回収できないという事態が生じえます。
そこで,暫定的に一定の権利や地位を認めるのが民事保全の制度です。これは,相手方の財産を仮に差し押える等の手続です。
以下では,債務名義の取得方法の例及び強制執行,民事保全について解説します。
◎債務名義の取得方法の例
◎強制執行
◎民事保全