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取引に分断がある場合、すなわち途中で一度完済して再度取引を行った場合に一連の取引とみるか、複数の取引があったとみるか。

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取引に分断がある場合、すなわち途中で一度完済して再度取引を行った場合に一連の取引とみるか、複数の取引があったとみるか。千代田区の弁護士へのご相談は東郷法律事務所

貸金業者等との取引の途中で一度借金をすべて完済し、貸し借りをしない空白期間が存在した後に再度同一の貸金業者等と取引を再開した場合、空白期間は無視して一連の取引が継続していたとみるか、空白期間を挟んで二個の取引があったとみるかが法律上の論点となります。なぜこれが貸金業者等と争いになるかというと、一連の取引があった考えた方が過払金の額が多額になることが多いからです。

具体的に事例を挙げて説明します。

昭和60年3月から平成8年6月まで貸金業者Aとの金銭消費貸借契約に基づいて、金銭の貸し借りをしてきました。平成8年6月に一度完済したのですが、平成9年3月に再度Aから借入を行い、平成24年3月に再度完済しました。この場合、昭和60年3月から平成24年3月まで一連の取引が継続していたとみるか、昭和60年3月から平成8年6月までの取引(以下、「第一取引」といいます。)と平成9年3月から平成24年3月までの取引(以下、「第二取引」といいます。)の二個の取引があったとみるかで過払金の額に変化が生じます。過払金は、最終取引日から10年の時効期間を経過して貸金業者等が時効を主張すれば消滅してしまうため、本件で二個の取引があったとすると、第一取引によって生じた過払金は平成8年6月の最終取引日から10年の経過で時効期間を経過することになります。よって、貸金業者が時効主張すれば、第一取引によって生じた過払金は消滅してしまいます。これに対して、一連の取引があったとみることができれば、最終取引日は平成24年3月ということになり、そこから10年を経過するまでは過払金が時効消滅しません。したがって、本件においては、一連の取引が継続していたとみるか、二個の取引があったとみるかで過払金の額が大きく異なるケースになります。

 この点、裁判所は一連の取引が継続していたとみるか、二個の取引があったとみるかについて、

①    第一取引の貸付け・弁済が反復継続して行われた期間の長さ

②    第一取引の最終弁済日から第二取引の最初の貸付日までの期間の長さ

③    第一取引の契約書の返還の有無

④    第一取引の借入等に 際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無

⑤    第一取引の最終弁済から第二取引の契約が締結 されるまでの間における貸主と借主との接触の状況

⑥    第二取引の基本契約が締結されるに至る経緯

⑦    第一取引と第二取引の各基本契約における利率等の契約条件の異同

等の事情を考慮して、判断しています。

取引の分断(空白期間)がある場合は、①~⑦の事情に関して事情を聴取し、お客様に有利な資料等があれば、訴訟で提出することになります。