1 契約書の重要性について
(1)契約書の役割
・契約とは何か?
⇒2個以上の相対立する意思表示の合致によって成立する法律行為。日常生活における約束事。水道も電気も契約しているから使える。電車に乗るのも契約が成立している。
・契約書がなくても契約は成立するか?
⇒成立する。
・なぜ契約書を作成するか?
⇒契約書の主要な役割として,
① 契約内容を明確化する役割
② 紛争になったとき(交渉や調停・裁判等)の証拠としての役割
③ 紛争が起こるのを予防する役割
の3つがある。
①契約内容を明確化する役割
ex)マンションの賃貸借契約:家賃の支払時期、支払方法(振込先)、契約満了の時期(更新時期)等
ex)消費貸借契約(お金の貸借り):貸付時期、貸付金額、弁済期、利息、遅延損害金等
②紛争になったとき(交渉や調停・裁判等)の証拠としての役割
(裁判になった時の機能)
契約書があることで契約自体が存在することが明らかになる。契約書がないと、仮に契約があったとしても相手方は契約が存在しなかったと争うこともある。
契約の内容に関しても明らかになる。
契約書に書かれてあることを裁判所は重視する。原則として法律上は法律の条文に書いてあることよりも当事者間の取り決めの方が優先される(例外:公序良俗に反する契約は無効。社会通念上許容されない契約は無効。例えば愛人となる契約は無効)。
また,裁判所は契約書に書いてあることはまずその通りであろうと認定する。その意味で,定型の契約書等を用いることはお勧めできない。なぜなら,定型の契約書だからといって細部まで確認せずに署名押印してしまうと,裁判の時に読んでいなかったと言っても裁判所は聞いてくれないことが多い。
③紛争が起こるのを予防する役割
(トラブル予防の観点からの機能)
トラブルを防止するためにはあらゆる起こりうるトラブルを想定して詳細に記載しておくことが望ましい。アメリカの契約書は何百頁にもなるものが珍しくない。トラブルを想定して、法的観点からの契約書チェックの必要性が高い。
口約束だけでは水掛け論になる。担当者が変わった場合や契約の主体が変わった場合(会社の組織再編等)等にコンセンサスの内容が分からなくなる。
(2)上記の役割を踏まえてどのように契約書を作成すべきか
・ 5W1Hを明確にする。
・ 自分が実現したいこと,相手に許容することは明確に盛り込む。
・ 違約金や解除条項等の,契約に変化を来す条項については一層明確に確認する。
・ 法律に違反しない契約書を作成する。
(金銭消費貸借契約、すなわちお金を貸す契約で、法の定める利息を超えた契約は無効。闇金:トイチで金を貸す。10日で1割の利息。闇金から10日に1割の利息で100万円借りてお金を受け取った。公序良俗に反し無効。愛人契約と同じように社会通念上許容されない契約だから無効。借りたお金すら返さなくてよい。)
・ 無意味に長い必要はないし,本来はあいまいな条項も不要(例:誠実に協議する。)。
・ タイトルは、契約書でも合意書で問題なし。問題は内容。