相手方(債務者)の財産を強制的に金銭に換価して債権の回収をする等の手続を強制執行といいます。すなわち,相手方の財産を強制的に金銭に換価して自己の債権を回収する手続です。金銭に換価する相手方の財産は,土地・建物等の不動産,預金,売掛金,会社にある動産等が挙げられます。
強制執行で一番鍵となるのは,相手方のどんな財産に対して執行するかということです。
例えば,相手方が土地や建物を持っていれば当該財産を差し押さえることが考えられますが,そのような財産がない場合も多いといえます。
強制執行とはあくまで債権者が特定した相手方の財産に対して執行するというものであり,裁判所や執行官は執行する相手がどのような財産を持っているのかということについては調査してくれるわけではありません。
したがって,例えば取引の際に入金するための預金口座(この場合は債権者がどこの銀行の何支店の何名義の口座かを特定する必要があります。)や,相手の所有している不動産等を自分で調べる必要があります。
そのため,執行も念頭において取引をすると考えれば,いざというときに執行できる財産が相手方にないかについて初期の段階からそれとなく調べておくことは大変意味のあることと言えます。
強制執行において相手方に不動産や車,預金や現金,売掛金債権等の財産がない場合には,相手方の会社で日常的に使用している動産類に対して強制執行することが考えらます。それらの動産自体には価値がないことが多いですが,執行することにより日常業務に支障をきたした相手方が執行を解除してもらうために債務を弁済してくる可能性があります。