再生債権(再生手続開始決定前の原因に基づく財産上の請求権)については、再生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、再生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができません。ただし,少額の再生債権を早期に弁済することにより再生手続を円滑に進行することができるとき、又は少額の再生債権を早期に弁済しなければ再生債務者の事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立により、その弁済をすることを許可することができます。
逆に言えば,再生手続開始決定後は,裁判所の許可を得ない限り少額債権の弁済を行うことはできないのです。これは再生手続開始決定前の段階で,弁済禁止の保全処分から少額債権が除外されている場合も同様です。再生手続開始決定前は弁済禁止の保全処分の例外として弁済していた少額債権について,再生手続開始決定後は裁判所の許可を得てから弁済を行うことになります。
少額債権の弁済許可申請書については,監督委員の了解を得た上で裁判所に提出します。
この他,弁済禁止の例外として,再生債務者を主要な取引先とする中小企業者が、その有する再生債権の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができます。これは連鎖倒産防止を目的に認められています。