成年被後見人は事理を弁識する能力を一時回復した場合には遺言をすることが可能です。事理を弁識する能力を回復していない状態では遺言はできません。遺言者が遺言をするときに遺言能力を有していることが必要だからです。遺言能力とは、遺言の内容を理解し、遺言の結果を弁識しうる意思能力のことです。
成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければなりません。遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければなりません。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければなりません。