債務名義を取得する方法としては,通常訴訟や支払督促の他に公正証書をあらかじめ作成しておくという方法があります。すべての公正証書に執行力があるわけではなく,金銭の一定の額の支払い又はその他代替物もしくは有価証券の一定数量の給付を目的とする請求で,約束を破れば債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されている必要があります。
売買契約等の取引をする際に,その内容をあらかじめ当事者が公証人役場において公証人に話すことにより,その内容に沿った公正証書を公証人が作成してくれます。
これにより,もしもどちらかが債務の履行をしなかった場合には通常訴訟や支払督促をするまでもなく公正証書自体が債務名義となり強制執行ができます。ちなみに公証人は検察官や裁判官を定年等で退職した者がなっていることが多く,法律の専門家です。
公正証書は,取引継続的な取引の場合よりも,単発で大きな取引をする場合等に特に効果を発揮することが多いといえます。公正証書を作成しておくことにより,面倒な裁判をすることなく,公正証書自体を執行官に提出することにより直ちに相手の財産を執行することが可能となります。