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争点3について

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争点3について千代田区の弁護士へのご相談は東郷法律事務所

3 両者が2個の独立した契約であっても,一方(会員権契約)の契約上の債務不履行を理由として他方の契約(マンション売買契約)を解除できますか?

 

 

◎控訴審

会員権購入契約上の義務が約定どおり履行されることが不動産の売買契約を締結した主たる目的の達成に必須であり,かつ,そのことが不動産の売買契約に表示されていたときは,売買契約の要素たる債務が履行されないときに準じて,会員権購入契約上の義務の不履行を理由に不動産の売買契約を解除することができる」とし,

↓ 本件では

屋内プールの利用が本件不動産の売買の主要な動機となっていたことがうかがわれないではないが,そのことが売買契約において何ら表示されていなかった,としてXらの請求を棄却した。

 

◎最高裁

「本件マンションの区分所有権の得喪と本件クラブの会員たる地位の得喪は密接に関連づけられている」

「同一当事者間の債権債務関係がその形式は甲契約及び乙契約といった2個以上の契約から成る場合であっても,それらの目的とするところが相互に密接に関連づけられていて,社会通念上,甲契約又は乙契約のいずれかが履行されるだけでは契約を締結した目的が全体としては達成されないと認められる場合には,甲契約上の債務の不履行を理由に,その債権者が法定解除権の行使として甲契約と併せて乙契約をも解除することができる。」

↓本件では

本件不動産は,屋内プールを含むスポーツ施設を利用することを主要な目的としたいわゆるリゾートマンションであり,前記の事実関係の下においては,Xらは,本件不動産をそのような目的をもつ物件として購入したものであることがうかがわれ,Yによる屋内プール完成の遅延という甲契約の要素ある債務の履行遅滞により,乙契約を締結した目的を達成することができなくなったものというべきであるから,乙契約においてその目的が表示されていたかどうかにかかわらず,右の履行遅滞を理由として民法541条により契約を解除することができるものと解するのが相当であると判断した。