任意整理を行う場合,全部の債権者につき,債務を整理するのが原則です。全部の債権者につき債務を整理しないと完全に借金問題を解決したことにはならないからです。
ただ,個々のお客様の事情によっては,整理しない貸金業者等を選ぶことができる場合があります。
具体的に説明しましょう。
例えば,消費者金融4社から借入を行っており,合計300万円の債務があります。その他に銀行1社の住宅ローン債務が3000万円あり,当該住宅にその銀行の抵当権が付いています。消費者金融4社合計で毎月14万円,住宅ローン10万円を返済しており,支払いが苦しい状況です。任意整理をしたいが,住宅を失いたくないという希望があります。
このようなケースでは,住宅ローンを組んでいる銀行を除外して消費者金融4社につき任意整理するのが有効です。消費者金融4社の借入については,引き直し計算をすれば,債務が減額される可能性があり,任意整理により毎月の支払いが少なくなり得ます。住宅ローンを組んでいる銀行の債務まで任意整理すると,住宅を失うことになりかねません。
そこで,住宅ローンを組んでいる銀行1社は任意整理せず,そのまま毎月10万円ずつ返済を行い,消費者金融4社については,任意整理をして減額できる部分は減額して残金を返済していけるかを検討することになります。
一部の債権者について任意整理を行いたい場合は,個々の事案に応じて慎重な判断が必要となりますので,弁護士にご相談ください。