債務者の財産について,法律に従って,他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利(民法303条)。先取特権を有する者を先取特権者という。
具体例
甲が乙旅館に宿泊したにもかかわらず,甲が乙に宿泊代金を支払わない。この場合,甲は乙から預かった手荷物に対して,先取特権を行使できる(民法311条2号)。すなわち,当該手荷物を競売して,競売代金から優先して弁済を受けることができる。
民法303条 先取特権者は,この法律その他の法律の規定に従い,その債務者の財産について,他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
(動産の先取特権)
民法311条 次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は,債務者の特定の動産について先取特権を有する。
一 不動産の賃貸借
二 旅館の宿泊
三 旅客又は荷物の運輸
四 動産の保存
五 動産の売買
六 種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
七 農業の労務
八 工業の労務